「覚えるだけの受験勉強は時代遅れ」と考えられる中、
Z会グループが立ち上げた大学受験ディアロは、
「説明できる=本当に理解した」を核にした新しい受験指導で
従来の予備校とは一線を画しているとみられている。その戦略を解剖する。
本記事は公開情報と弊社の支援実績をもとに筆者が分析したものです。各社の公式見解ではありません。
戦略①「アウトプット=本当の理解」という指導哲学
大学受験ディアロの核心は「生徒自らが説明できるまで理解する」という指導哲学とみられる。
- 映像授業でインプット
- 「プロコーチ」に説明することでアウトプット
- 「わかったつもり」を「本当にわかった」に変えることを目指す
このメソッドは認知科学の「説明効果(プロテジェ効果)」に基づいていると考えられる。
「人に説明できる内容は長期記憶に定着しやすい」という研究成果を
受験指導に落とし込んでいると推察される。
戦略②「Z会のコンテンツ×ディアロのコーチング」の融合
ディアロはZ会グループとして、Z会の高品質な映像教材を活用しているとみられる。
- Z会の難関大対策映像でインプット
- ディアロのプロコーチが説明・対話でアウトプットを引き出す
- 「Z会の教材品質×ディアロのコーチング」というシナジーが期待される
Z会ブランドへの信頼がディアロへの初期信頼になり、
ディアロのコーチング体験がZ会への愛着を深める構図が考えられる。
戦略③「プロコーチ」という新しい指導者像
ディアロでは講師を「プロコーチ」と呼ぶ傾向がみられる。
- 「教える」のではなく「引き出す」スタンスを取るものと考えられる
- 生徒が説明する際に「それはどういう意味?」「なぜそうなる?」と問い返す
- コーチングスキルを持った専門職としての位置付けがされているとみられる
この「講師≠コーチ」という概念の差別化は、
保護者・生徒に「ここは違う」という認識を与えうるものと考えられる。
大学受験ディアロの課題
- コーチング型のため、自分から話すことが苦手な生徒には合わない場合も考えられる
- 料金が東進・河合塾と比べて高いとの指摘もある
- 校舎数がまだ少なく、通えるエリアが限られているとみられる
- 「説明できた=点が取れる」とは限らないという指摘もある
- 認知度は東進・駿台に比べてまだ低い傾向がみられるのではないだろうか
塾経営者が学べる3つのポイント
✅ 「説明させる授業」を取り入れるだけで指導の質が変わるとみられる
「わかりましたか?」ではなく「では説明してみて」と聞く。
このたった一言の変更で、生徒の理解度の把握と
記憶定着の両方が向上する可能性が考えられる。
✅ 「コーチ型指導」は大手との差別化になりうると考えられる
大手塾が「教える」スタイルの中で、
「引き出す・対話する」スタイルに変えると
全く異なる顧客層(自走力・理解重視の層)が集まる傾向がみられるのではないだろうか。
✅ 親ブランドとの連携で信頼を転写する戦略が効果的と考えられる
Z会×ディアロのように、
信頼できるブランドとの提携・協働は
新ブランドへの信頼形成を加速させるものと推察される。
よくある質問(FAQ)
Q. ディアロの”対話型学習”モデルを中小塾が導入する際のハードルは?
A. ディアロの対話型学習は、生徒がホワイトボードを使って講師に「プレゼン」する形式だ。中小塾が導入する際の最大のハードルは、講師の質問力・ファシリテーション力の養成にある。単に「教える」のではなく「引き出す」スキルが必要なため、講師研修への投資と、1コマあたりの生徒数を絞る収益設計が前提となる。
Q. ディアロがZ会グループである強みは、独立系の塾にとってどんな示唆があるか?
A. ディアロはZ会の教材・ブランド力を活用しつつ、対面指導という独自の価値を付加している。独立系の塾も、外部の良質な教材やオンラインサービスと提携し、自塾の指導を「教材では得られない付加価値」として位置づける戦略が取れる。すべてを自前で揃える必要はない。
Q. ディアロの「トレーニング」という表現は、塾のサービス設計にどう活かせるか?
A. ディアロは授業を「トレーニング」と呼び、生徒が受動的に学ぶのではなく能動的に鍛える場と定義している。この言い換えは、保護者に「成果にコミットする塾」という印象を与える効果がある。中小塾でも、サービス名称を工夫するだけでブランドの独自性を打ち出せる。
参考:基本データ
運営会社 :株式会社Z会ソリューションズ(Z会グループ)
校舎数 :首都圏6校・静岡1校 計7校
対象 :高校1〜3年生・高卒生
特徴 :AI映像授業(atama+)×コーチとの対話型トレーニング
料金目安 :月額約4〜10万円程度(コース・教科数による)


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