春だけ広告を出す vs 通年で出す|塾の広告費の年間配分の考え方
「春の入塾シーズンだけ広告を出して、あとは止めている」
「通年で出した方がいいのは分かるけど、予算が足りない」
塾の広告をいつ、どのくらいの期間出すかは、予算が限られる個人塾にとって重要な判断です。
結論から言うと、「春だけ集中」「通年均等配分」のどちらも最適ではありません。塾を探す保護者の検索需要は季節によって変動するため、需要に合わせて広告費を「傾斜配分」するのが最も効率的です。
この記事では、塾業界の季節ごとの検索需要データをもとに、年間の広告費配分の考え方を解説します。
塾業界の検索需要は季節で大きく変動する
Googleの検索データを見ると、塾関連のキーワードには明確な季節パターンがあります。
| 時期 | 検索需要 | 主な検索動機 |
|---|---|---|
| 1〜3月 | 最も高い(ピーク) | 新学期に向けた塾探し・春期講習 |
| 4〜5月 | 中程度 | 新学期開始後の成績不振による塾探し |
| 6〜7月 | やや高い | 夏期講習・定期テスト後の危機感 |
| 8月 | 低め | 夏期講習中のため新規検索は少ない |
| 9〜10月 | 中程度 | 受験対策の本格化・学校行事後の検討 |
| 11〜12月 | やや低い | 冬期講習・受験直前の駆け込み |
※Googleトレンドおよび当社支援実績(2024年)に基づく傾向。地域により差があります。
この表から分かるのは、「塾」の検索需要は年間を通じて存在するということです。春がピークであることは間違いありませんが、6〜7月(夏期講習前)や9〜10月(受験対策の本格化)にも一定の検索需要があります。
「春だけ広告」の問題点
春(1〜3月)だけに広告費を集中させるパターンの問題点を整理します。
問題1:CPCが最も高い時期に集中投資している
1〜3月は塾の広告出稿が最も多い時期です。当然、CPC(クリック単価)も年間で最も高くなります。
CPC(Cost Per Click)とは、広告が1回クリックされるたびに発生する費用のことです。
当社支援実績(2024年)のデータでは、以下のような傾向が見られます。
| 時期 | CPC目安(「○○市 塾」の場合) | 春との比較 |
|---|---|---|
| 1〜3月(春) | 1,000〜1,500円 | 基準 |
| 4〜5月 | 700〜1,100円 | 約20〜30%安い |
| 6〜7月 | 800〜1,200円 | 約10〜20%安い |
| 8月 | 500〜800円 | 約40〜50%安い |
| 9〜10月 | 600〜1,000円 | 約20〜30%安い |
| 11〜12月 | 600〜900円 | 約30〜40%安い |
※地域・競合状況により大きく変動します。
つまり、春だけに予算を集中させると、「最も競合が多く、最もクリック単価が高い時期にだけ広告を出している」ことになります。
問題2:春以外の入塾需要を取りこぼす
当社支援実績(2024年)では、年間の入塾者のうち春(1〜3月)の入塾は約40〜50%でした。裏を返すと、残りの50〜60%は春以外の時期に入塾しています。
春だけ広告を出すということは、年間の入塾需要の半分以上を取りこぼしていることになります。
問題3:広告の学習データが蓄積されない
Google広告にはAIが自動的に広告を最適化する「スマート入札」という機能があります。この機能は過去の配信データを学習して精度を上げていくため、広告を止めている期間があると学習がリセットされ、再開時にゼロからやり直しになります。
通年均等配分の問題点
一方、毎月同じ金額を均等に配分するパターンにも課題があります。
- 需要が少ない8月にも同額を使うため、費用対効果が下がる
- 需要がピークの1〜3月に予算が足りず、機会損失が発生する
- 季節に応じた広告文やキーワードの最適化がされにくい
最適解は「傾斜配分」|月別の予算配分モデル
最も効果的なのは、検索需要に合わせて予算を傾斜配分する方法です。
年間広告予算60万円(月平均5万円)の場合のモデルを示します。
| 月 | 予算配分 | 金額(年60万円の場合) | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1月 | 12% | 72,000円 | 新学期前の最需要期 |
| 2月 | 14% | 84,000円 | ピーク。春期講習の訴求 |
| 3月 | 12% | 72,000円 | 駆け込み入塾の獲得 |
| 4月 | 8% | 48,000円 | 新学期開始後の需要 |
| 5月 | 6% | 36,000円 | 中間テスト前後の需要 |
| 6月 | 8% | 48,000円 | 夏期講習の早期告知 |
| 7月 | 10% | 60,000円 | 夏期講習の直前需要 |
| 8月 | 4% | 24,000円 | 最低限の認知維持 |
| 9月 | 7% | 42,000円 | 受験対策の本格化 |
| 10月 | 6% | 36,000円 | 冬期・受験直前対策の訴求開始 |
| 11月 | 6% | 36,000円 | 冬期講習の告知 |
| 12月 | 7% | 42,000円 | 冬期講習・新年度準備 |
※上記は一つのモデルです。地域・塾の対象学年により最適な配分は異なります。
このモデルのポイントは以下の3つです。
- 1〜3月に全体の約38%を集中させ、最需要期を重点的にカバー
- 8月は最低限に抑え、予算を他の月に回す
- 通年で出し続けることで、広告の学習データを維持し、春以外の入塾需要も拾う
月の広告費が3〜5万円しかない場合の運用方法
「傾斜配分が理想なのは分かるけど、月3〜5万円が限界」という塾長も多いでしょう。その場合のおすすめパターンを2つ紹介します。
パターンA:「春+夏」の2シーズン集中型
- 1〜3月:月5万円で広告運用
- 6〜7月:月5万円で広告運用
- それ以外:広告を停止(ただしSEO・MEOは継続)
年間広告費:約25万円。2つの需要ピークだけをカバーするシンプルな方法です。
パターンB:通年少額+春にブースト型
- 通常月:月2万円で最小限の広告運用
- 1〜3月:月5〜8万円にブースト
年間広告費:約35〜42万円。通年で広告の学習データを維持しつつ、春に予算を増やすバランス型です。
当社支援実績(2024年)では、パターンBの方がパターンAよりも年間の問い合わせ数が約1.3倍多い傾向が見られました。通年で出し続けることで広告の最適化が進み、春のブースト時に効率よく問い合わせを獲得できるためです。
季節ごとの広告文・キーワードの切り替えポイント
通年で広告を出す場合、同じ広告文を1年中使い続けるのは非効率です。季節に合わせて広告文とキーワードを切り替えましょう。
| 時期 | 広告文の訴求ポイント | 追加キーワード例 |
|---|---|---|
| 1〜3月 | 「新学期からのスタートに」「春期講習受付中」 | 「春期講習」「新学年 塾」 |
| 4〜5月 | 「新学期の成績、心配ですか?」 | 「中間テスト 対策」「成績 下がった」 |
| 6〜7月 | 「夏期講習で苦手を克服」 | 「夏期講習」「夏休み 勉強」 |
| 9〜10月 | 「受験まであと○か月」 | 「受験対策」「偏差値 上げたい」 |
| 11〜12月 | 「冬期講習で総復習」「受験直前対策」 | 「冬期講習」「受験 追い込み」 |
広告文の切り替えはGoogle広告の管理画面で簡単にできます。既存の広告を一時停止し、新しい広告文を作成するだけです。
まとめ|予算に合わせた「メリハリ」が大切
- 春だけに集中すると、CPCが高い時期に集中投資+春以外の需要を取りこぼすリスクがある
- 通年均等配分は、需要が少ない月にも同額を使うため非効率
- 最も効果的なのは、検索需要に合わせた傾斜配分
- 予算が限られる場合は、通年少額+春にブーストのパターンがおすすめ
- 季節ごとに広告文・キーワードを切り替えて最適化する
広告費の目安は「塾のWeb広告、予算3万・5万・10万でできること」、広告費を増やしても効果が頭打ちになる場合は「塾の広告費の「天井」と突破方法」もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 春だけ広告を出すのは完全にNGですか?
A. NGではありませんが、効率が良いとは言えません。春はCPCが年間で最も高い時期のため、同じ予算でも獲得できるクリック数が少なくなります。予算がどうしても限られる場合は、春だけでも広告を出す価値はありますが、可能であれば通年少額+春ブーストの方が年間トータルの成果は上がる傾向があります。
Q. 広告を一時停止すると、再開したとき不利になりますか?
A. Google広告のスマート入札機能は過去データを学習して最適化するため、長期間停止するとデータがリセットされ、再開時に学習期間が必要になります。1〜2週間の停止であれば大きな影響はありませんが、数か月単位の停止は非効率になる可能性があります。
Q. 年間の広告予算はいくらが目安ですか?
A. 個人塾の場合、年間36〜60万円(月平均3〜5万円)が一つの目安です。この範囲であれば、通年で最小限の広告を出しつつ、需要期にブーストする運用が可能です。予算に合わせた設計は「予算別のシミュレーション記事」を参照してください。
Q. 夏期講習の広告はいつから出すべきですか?
A. 6月上旬から出し始めるのがおすすめです。保護者が夏期講習を検討し始めるのは6月頃からで、7月に入ると検索需要がピークを迎えます。早めに出しておくことで、競合が少ない時期に低いCPCで認知を獲得できます。
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